ec_wp_こころの余白_誰にも気づかれないまま、少しずつ削られていく感覚の正体

誰にも気づかれないまま、少しずつ削られていく感覚の正体

【回復プロセスの位置:内側を知る(揺れ・状態認識)】
今週の月曜日は、自分の内側で起きている「揺れ」に気づき、その状態をありのまま認識する日です。何かがおかしい、でもうまく言葉にできない——そんなモヤモヤした感覚こそ、心が発している大切なサインかもしれません。

「削られている」という感覚は、いつ始まったのか

「最近、疲れやすくなった気がする」 「前は楽しかったことが、なんだか億劫に感じる」 「理由はわからないけれど、心が重い」

こうした感覚を抱えているとき、私たちはよく「気のせいかもしれない」と自分に言い聞かせます。でも、その違和感は本当に気のせいなのでしょうか。

実は、この「静かに削られていく感覚」は、心理学で言う「感情的消耗」の初期サインであることが少なくありません。大きなトラブルがあったわけでもない、誰かに責められたわけでもない。それなのに、なぜか心の体力が少しずつ減っていく——その背景には、自分でも気づきにくい「小さな我慢の積み重ね」が隠れています。

「お返しします」に込められた、見えない重さ

特に注目したいのが、「お返しします」という言葉が持つ、独特の心理的負荷です。

誰かに何かをしてもらったとき、私たちは無意識のうちに「返さなければ」という気持ちを抱きます。これは心理学で「返報性の原理」と呼ばれる、人間関係を円滑にするための大切な心の働きです。

でも、この「返さなければ」という思いが、いつの間にか自分を縛る鎖になっていることがあります。

「あの人はいつも私に優しくしてくれるから、私も応えなきゃ」 「助けてもらったんだから、次は私が頑張らないと」 「期待に応えられなかったら、嫌われるかもしれない」

こうした思いを抱えながら、自分の気持ちを後回しにして、相手の期待に応え続ける。その繰り返しが、気づかないうちに心を削っていくのです。

削られていることに、なぜ気づけないのか

この「静かな削られ方」の厄介なところは、自分でも削られていることに気づきにくい点にあります。

なぜなら、削られる過程があまりにも穏やかで、日常に溶け込んでいるからです。突然の大きな傷なら、誰でもすぐに手当てをします。でも、毎日少しずつ、見えないところで削られていく傷は、痛みとして認識される前に「これが普通」として受け入れられてしまいます。

心理学では、このような状態を「感情的麻痺」と呼ぶこともあります。痛みを感じ続けるのがつらいから、心が自動的に感覚を鈍らせてしまうのです。

さらに、「お返しする」という行為そのものが、社会的に肯定されやすいことも、気づきを遅らせる要因になります。誰かのために尽くすこと、相手の期待に応えることは、一般的に「良いこと」とされています。だからこそ、そこで感じる違和感や疲れを、自分で認めることが難しくなるのです。

揺れている自分を、責めないでほしい

今、あなたが感じている「削られている」という感覚は、決して弱さの証ではありません。

むしろ、それは心が「もうこれ以上は無理かもしれない」と、あなたに伝えようとしている大切なメッセージです。その揺れに気づけたこと自体が、回復への第一歩なのです。

「こんなことで疲れるなんて、自分は情けない」 「もっと頑張れるはずなのに」

そんな風に自分を責めたくなる気持ちも、よくわかります。でも、頑張りすぎて削られ続けた先に待っているのは、さらに深い疲弊です。

今、この瞬間に感じている揺れを、否定せずにそのまま受け止めてください。「ああ、今、私は揺れているんだな」と、ただ認めるだけでいいのです。

「お返し」の重さを、少し降ろしてみる

では、この「静かな削られ方」から抜け出すために、何ができるでしょうか。

まず大切なのは、「お返ししなければ」という思いが、本当に必要なものなのかを見つめ直すことです。

相手はあなたに何かを期待しているかもしれません。でも、その期待に必ず応えなければいけないという決まりは、実はどこにもありません。相手の優しさに感謝する気持ちと、自分の限界を守ることは、両立できるのです。

「ありがとう。でも今は少し難しい」 「嬉しいけれど、今の自分にはこれが精一杯」

そんな風に、感謝と自分の状態を両方伝えることは、決して冷たいことではありません。むしろ、それは自分にも相手にも誠実な態度だと、私は思います。

揺れを認めることから、回復は始まる

この記事を読んでいるあなたは、もしかしたら「私の感じているこの違和感は、やっぱり本物だったんだ」と、少しホッとしているかもしれません。

それは、とても自然な反応です。自分の感覚が間違っていなかったと知ることは、それだけで心の支えになります。

今週の月曜日、この「内側を知る」位置にいるあなたは、まず自分の揺れをありのまま認めることから始めてください。解決策を焦る必要はありません。今はただ、「削られている」という感覚に気づき、それを言葉にするだけで十分です。

その痛みを感じる心は、あなたが自分を大切にしようとしている証です。

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