今、回復のどこにいますか?
今日は「判断への準備」の位置にいます。傷を癒やし、少しずつ心が落ち着いてきた今、次にどう進むかを考える場所です。正論に傷ついた経験を、ただの痛みで終わらせない。その経験から、あなた自身の判断軸を取り戻していく過程を、一緒に見つめていきましょう。
傷ついた後の、静かな混乱
正論を言われて傷ついた後、しばらくは心が揺れます。
「やっぱり私が間違っていたのかな」 「相手の言う通りにすべきだったのかも」 「でも、何か違う気がする」
傷が癒えてきても、次にどうすればいいのかわからない。同じような状況になったとき、また同じように傷つくのではないか。そんな不安が、あなたの中にあるかもしれません。
判断への準備とは、答えを急ぐことではありません。むしろ、「自分にとっての正しさ」を、ゆっくりと確認していく作業です。
正論を言った相手の価値観と、あなたの価値観は、同じではありません。どちらが正しいかという問題ではなく、あなたには、あなたの判断軸があるということ。それを、今、取り戻そうとしているのです。
違和感の正体を、もう一度見つめる
前回、あなたの中に生まれた「違和感」について触れました。今度は、その違和感を、もう少し丁寧に構造化してみましょう。
違和感は、漠然としたモヤモヤとして感じられます。でも、それを分解していくと、いくつかの層が見えてきます。
まず、「前提のずれ」です。
正論を言う側が想定している前提と、あなたが置かれている状況との間に、ずれがある。たとえば、「効率よくやればいい」という正論の背後には、「あなたには十分な時間と余裕がある」という前提があるかもしれません。でも、実際のあなたは、時間にも心にも余裕がない。
次に、「優先順位のずれ」です。
相手が大切だと思っているものと、あなたが今、守りたいと思っているものが、違う。相手は「成果」を優先しているかもしれないけれど、あなたは今、「自分の心の安定」を優先したい。そのずれが、違和感として表れます。
そして、「関係性の文脈」です。
同じ言葉でも、誰が言うか、どんな関係性の中で言われるかで、受け取り方は変わります。信頼している人からの正論と、普段から否定的な人からの正論では、心への影響が違う。違和感は、その関係性の歴史も含めて生まれています。
こうして違和感を構造化すると、「なぜ自分は苦しかったのか」が、少しずつ見えてきます。
判断軸を取り戻す、3つの問い
正論に傷ついた後、自分の判断軸を取り戻すために、3つの問いを自分に投げかけてみてください。
1つ目は、「今の私にとって、何が一番大切か?」
正論は、しばしば「一般的な正しさ」を押しつけます。でも、あなたには、あなたの優先順位があります。今のあなたにとって、何が一番守りたいものでしょうか。心の安定でしょうか。大切な人との関係でしょうか。それとも、自分のペースでしょうか。
答えは、人によって違います。そして、状況によっても変わります。大切なのは、「今の私」を基準にすること。過去の自分でも、理想の自分でもなく、今のあなたが何を必要としているかを、まず確認することです。
2つ目は、「この判断は、誰のためのものか?」
正論に従うことで、誰が満足するのでしょうか。相手でしょうか。それとも、あなた自身でしょうか。もし、相手を満足させるためだけの判断なら、それはあなたの判断ではなく、相手への迎合です。
あなたの判断は、あなた自身のためにあります。相手の期待に応えることが、結果的にあなた自身のためになることもあります。でも、それはあくまで「結果的に」です。判断の出発点は、常に、あなた自身であるべきです。
3つ目は、「この判断を、後悔しないか?」
これは、未来への問いかけです。今、あなたが下そうとしている判断を、1年後のあなたは、どう見るでしょうか。後悔するでしょうか。それとも、「あの時、あの判断をして良かった」と思えるでしょうか。
後悔しない判断とは、完璧な判断ではありません。むしろ、「その時の自分なりに、考え抜いた判断」です。たとえ結果がうまくいかなくても、自分で決めたという事実が、あなたを支えます。
正論との距離の取り方を、学ぶ
判断への準備とは、正論とどう向き合うかを学ぶことでもあります。
正論を完全に無視することはできません。時に、正論は的を射ていることもあります。でも、正論をすべて受け入れる必要もありません。
心理学では、これを「選択的受容」と呼ぶことがあります。相手の言葉の中から、自分に必要な部分だけを受け取り、残りは手放す。そのスキルを身につけることで、正論に振り回されなくなります。
たとえば、「もっと効率的にやればいい」という正論を言われたとき。その言葉の中には、「効率を考えてみる」という視点は、確かに有用かもしれません。でも、「今すぐ、完璧に効率化しなければならない」という部分は、受け取らなくてもいい。
正論の中から、「使える部分」だけを抜き出す。それが、正論との健全な距離の取り方です。
そして、正論を言われたとき、すぐに反応しないことも大切です。その場で答えを出さなくてもいい。「その意見、考えてみます」と保留することは、逃げではなく、賢明な判断です。
距離を置くことで、冷静に考える時間ができます。その時間が、あなたの判断軸を守ります。
小さな決断から、始めてみる
判断への準備ができたからといって、すぐに大きな決断をする必要はありません。まずは、小さな判断から始めてみましょう。
今日の夕食は何を食べるか。週末はどう過ごすか。そんな日常の小さな選択の中で、「自分で決める」という感覚を取り戻していきます。
小さな判断を重ねることで、あなたは少しずつ、自分の感覚を信じられるようになります。「これでいい」と思えるようになります。そして、その積み重ねが、やがて大きな判断を支える土台になります。
正論に傷ついた経験は、あなたから判断力を奪ったように感じるかもしれません。でも、実際には、あなたの判断力はそこにあります。ただ、一時的に、使えなくなっていただけです。
小さな判断を通して、あなたは自分の感覚を取り戻していきます。「ああ、私はこれが好きなんだ」「私には、こういう選び方が合っているんだ」。そんな気づきが、少しずつ積み重なっていきます。
判断の失敗を、恐れない
判断への準備をしても、完璧な判断ができるわけではありません。時に、あなたは間違った選択をするかもしれません。
でも、それでいいのです。
判断の失敗は、あなたの価値を下げるものではありません。むしろ、「自分で判断した」という事実そのものが、大切なのです。
心理学では、「自己決定感」が人の幸福度に大きく影響すると言われています。自分で決めたという感覚が、たとえ結果が思わしくなくても、あなたの心を支えます。逆に、他人に決められた選択は、たとえ結果が良くても、満足感をもたらしません。
判断の失敗から、あなたは学びます。「次はこうしてみよう」「この方法は、自分には合わなかった」。その学びが、あなたの判断軸を、より確かなものにしていきます。
失敗を恐れて判断を避けることは、結局、正論に支配されることと同じです。失敗してもいいから、自分で決める。その勇気が、あなたを前に進めます。
次に正論を言われたとき、どうするか
回復のプロセスを経て、判断への準備ができた今。次に正論を言われたとき、あなたは以前とは違う反応ができるようになっています。
まず、深呼吸をしてください。そして、こう自分に問いかけます。
「この正論の中に、私が受け取るべき部分はあるだろうか?」 「それとも、これは相手の価値観であって、私には当てはまらないだろうか?」
すぐに答えを出さなくてもいい。その場で「考えてみます」と言って、一度保留する。それだけで、正論の圧力から、あなた自身を守ることができます。
そして、一人になったとき、改めて考えてみる。あなたの違和感は、何を教えてくれているのか。あなたが大切にしたいものは、何なのか。
そうして出した答えは、たとえ正論に従わないものだったとしても、あなたにとっての正しい判断です。それは、誰かに説明する必要も、誰かに許可をもらう必要もありません。
あなたの判断は、あなたのものです。
前を向くということ
判断への準備が整うということは、過去の痛みを忘れることではありません。むしろ、その痛みを抱えたまま、前を向くということです。
正論に傷ついた経験は、あなたの一部になりました。それは、消えません。でも、その経験があるからこそ、あなたは自分の判断軸を、より深く理解できるようになりました。
前を向くとは、新しい判断をすることです。小さな選択でも、大きな決断でも、自分で決めること。その積み重ねが、あなたを前に進めます。
まだ、不安があるかもしれません。次に正論を言われたら、また傷つくかもしれない。でも、今度は、以前とは違います。あなたには、自分を守る方法があります。違和感を感じ取る力があります。そして、自分で判断する勇気があります。
少しずつ、一歩ずつ。あなたは、確実に前を向いています。
日常へ、自分の足で
回復のプロセスは、ここで一区切りです。
傷を癒やし、違和感を構造化し、判断への準備を整えた今。あなたは、再び日常へと戻っていきます。でも、それは「元の場所に戻る」ということではありません。
あなたは今、以前とは違う視点を持っています。正論との向き合い方を知っています。自分の判断軸を、取り戻しています。
日常の中で、また正論を言われることがあるでしょう。また、傷つくこともあるかもしれません。でも、今度は、その痛みとどう向き合えばいいか、あなたは知っています。
一人で抱え込まなくていい。自分の感覚を信じていい。そして、小さな判断から、自分を取り戻していけばいい。
あなたの歩みは、あなた自身のものです。誰かの正論に従う必要はありません。あなたの足で、あなたの道を、進んでいってください。
その痛みを感じる心は、あなたが自分を大切にしようとしている証です。
公式LINEでは、こうした心の痛みと向き合うためのヒントを、週に数回お届けしています。一人で抱え込まなくていい。あなたの心に、少しでも余白を作るお手伝いができれば嬉しいです。
登録はこちらから👇
