「なんでこんなに不安なんだろう」 「なんでこんなにイライラするんだろう」
感情が渦巻いて、自分でも訳が分からなくなる。
モヤモヤが晴れなくて、誰かに話そうとしても、うまく言葉にできなくて。 「なんか、分からないけど、嫌な感じ」で終わってしまう。
でも、もしかしたら。 その感情の正体は、バイアスが見せている景色かもしれません。
そして、バイアスに名前がつくと、感情が整理され始めます。
感情が整理されないのは、名前がついていないから
「なんか不安」 「なんかモヤモヤする」 「なんかイライラする」
感情には名前があります。 でも、その感情を生み出している「思考の癖」には、名前がついていないことが多い。
だから、感情だけが残って、どうすればいいか分からなくなる。
たとえば、新しい仕事を任されたとき。 「不安」だと感じた。
でも、その不安の正体は何でしょう?
「失敗したらどうしよう」という不安なら、それは損失回避バイアスかもしれません。 「前にも同じようなことで失敗した」という不安なら、それは利用可能性バイアスかもしれません。 「私には無理だ」という不安なら、それは確証バイアスかもしれません。
同じ「不安」でも、その正体は違う。 そして、正体に名前がつくと、感情が整理され始めます。
あなたの感情を生み出している「バイアス10選」
感情を整理するために、まず知っておくべきなのは、あなたの感情を生み出しているバイアスです。
1. 損失回避バイアス 👉 失うことへの恐怖が強い。「失敗したらどうしよう」という不安が、行動を止める。
2. 利用可能性バイアス 👉 直近の出来事が強く残る。「前にこうだった」という記憶が、今の感情を支配する。
3. 確証バイアス 👉 「私はダメだ」という思い込みに合う情報だけを集める。自己否定の感情が強くなる。
4. 後知恵バイアス 👉 「あのとき分かっていれば」という後悔が、自分を責める感情を生む。
5. 正常性バイアス 👉 「まだ大丈夫」と思い込む。危機感が麻痺して、後から焦りが襲ってくる。
6. 楽観バイアス 👉 「なんとかなる」と軽く見る。準備不足で不安になったとき、自分を責める。
7. ネガティビティバイアス 👉 悪いことばかりが記憶に残る。「良かったこと」が見えなくなり、落ち込みが続く。
8. 比較バイアス 👉 他人と比べて落ち込む。「あの人はできているのに」という感情が、自己否定を生む。
9. 感情推論バイアス 👉 今の感情が真実だと思い込む。「不安だから危険」「落ち込んでいるからダメ」と決めつける。
10. 完璧主義バイアス 👉 「完璧にできなかった=失敗」と思い込む。達成感が得られず、常に不満が残る。
これらは、あなたが今日感じた不安、イライラ、落ち込み、焦りを生み出したバイアスかもしれません。
バイアスに名前がつくと、感情が「相対化」される
「なんでこんなに不安なんだろう」と思ったとき。
それが「損失回避バイアスが働いているからかもしれない」と分かったら、どうでしょう?
不安は消えないかもしれない。 でも、「この不安は、失うことへの恐怖が大きく見えているだけかもしれない」と思えます。
それは、感情を「絶対的なもの」から「相対的なもの」に変えることです。
「私は不安だ(絶対)」ではなく、「今、損失回避バイアスの影響で、リスクが大きく見えているから不安なんだ(相対)」。
「なんでこんなにイライラするんだろう」と思ったとき。
それが「確証バイアスが働いているからかもしれない」と分かったら、どうでしょう?
「やっぱりこの人はこうだ」と決めつけていることに気づきます。 「自分の印象に合う行動だけを見ていたかもしれない」と思えます。
イライラは消えないかもしれない。 でも、「この人が悪い」という感情から、「私がこう見ているだけかもしれない」という感情へ、少しだけシフトします。
「なんでこんなに落ち込むんだろう」と思ったとき。
それが「利用可能性バイアスが働いているからかもしれない」と分かったら、どうでしょう?
「前にこうだった」という記憶が、強く残っているだけかもしれない。 「うまくいったこと」も、実はあったかもしれない。
落ち込みは消えないかもしれない。 でも、「いつもダメなわけじゃない」と思える余地が生まれます。
バイアスに名前がつくことで、感情が「絶対」から「相対」に変わります。 そして、感情が相対化されると、整理が始まります。
感情整理は、バイアスを消すことじゃない
バイアスに名前をつけることは、バイアスを消すことではありません。
損失回避バイアスは消えません。 確証バイアスも消えません。 利用可能性バイアスも消えません。
でも、名前がつくことで、「ああ、これはバイアスが見せている景色なんだ」と分かります。
それだけで、感情との距離が生まれます。
感情に飲み込まれるのではなく、感情を「観察する」ことができるようになります。
「今、私は損失回避バイアスが働いて、不安が大きく見えているんだな」 「今、私は確証バイアスが働いて、相手のことを決めつけているんだな」 「今、私は利用可能性バイアスが働いて、過去に引きずられているんだな」
そう思えたとき、感情は少しだけ静かになります。
バイアスに名前をつけることは、自分を知ること
「なんでこんなに不安なんだろう」という問いは、バイアスに名前をつけることで、「私はどのバイアスに影響されやすいか」という問いに変わります。
それは、感情を整理することであり、自分を知ることです。
あなたが今日感じた不安、イライラ、落ち込み、焦り。 その正体には、名前があります。
そして、名前がつくと、感情は整理され始めます。
感情に名前がつくと、あなたは感情に飲み込まれるのではなく、感情を理解し始めます。